除湿機は室内の湿度を取り除いてくれるので、暑い季節や湿度の高い時期に特に重宝されます。
ここでは、除湿機の基礎知識について詳しく説明し、除湿機を選ぶ際に考慮すべきポイントや使い方のコツについても紹介します。
除湿機の働きと種類
除湿機の働き
除湿機は、室内の湿度を下げるために様々な技術を用いています。
一般的な除湿機は、冷却材を使って空気中の水蒸気を凝縮させる「冷凍式」が多く、空気を循環させるファンによって部屋全体を均一に乾燥させます。
一方、吸湿剤式の除湿機は、湿気を吸着する特殊な吸湿剤を使って湿度を下げます。
この方式は、静音性が高く、省エネ性も良いため、寝室や書斎など、静かな場所で使うことが適しています。
また、最近では「セラミック式」という方式の除湿機も登場しています。
この方式は、湿度を測定してセラミック素材に蓄えた熱で水蒸気を吸収し、蒸発させることで湿度を下げます。
低温の場所でも使用可能で、除湿だけでなく、空気清浄機能も備えたモデルもあります。
除湿機の種類
1.コンプレッサー式除湿機
空気を吸い込み、冷却して水蒸気を凝縮させることで湿気を取り除く方式の除湿機です。
【メリット】
- 効率的に除湿ができる
コンプレッサー式除湿機は、空気を冷却することで湿気を取り除くため、効率的に除湿ができます。 - 大容量の除湿が可能
コンプレッサー式除湿機は、大容量の除湿が可能です。これは、コンプレッサーの強力な圧縮機能によって、湿気を短時間で取り除くことができるためです。 - 静音性が向上
近年、コンプレッサー式除湿機の静音化が進んでおり、以前に比べて静かに運転できる機種が多くなっています。
【デメリット】
- 電気代が高くなる
コンプレッサー式除湿機は、圧縮機能を利用するため、消費電力が高くなります。そのため、電気代が高くなる可能性があります。 - 冷媒が必要
コンプレッサー式除湿機は、冷媒を使用するため、適切な取り扱いが必要です。 - 温度差による問題
冷却によって空気中の水分を取り除くため、冷却された部屋とそうでない部屋との温度差が生じることがあります。そのため、部屋全体を均一に除湿するには、複数台の除湿機が必要になることがあります。
2.デシカント式除湿機
湿度を取り除くために乾燥材と呼ばれる吸湿性の高い物質を使用する方式の除湿機です。
【メリット】
- 低温下でも除湿が可能
デシカント式除湿機は、冷却に依存しないため、低温下でも効率的に除湿ができます。これは、冬場の寒冷地でも使用できるというメリットがあります。 - 電気代が比較的安い
圧縮機能がないため、消費電力が少ないため、電気代が比較的安く抑えられます。 - 静音性が高い
デシカント式除湿機は、圧縮機能を持たないため、静音性が高く、就寝時に使用することもできます。
【デメリット】
- 維持費が高い
デシカント式除湿機は、除湿材を交換する必要があるため、維持費が高くなる可能性があります。 - 除湿量が少ない
デシカント式除湿機は、1台あたりの除湿量が比較的少ないため、大容量の除湿には向かない場合があります。 - 部品交換が必要
デシカント式除湿機には、除湿材を保持するための部品が必要です。そのため、長期間使用していると、部品の交換が必要になることがあります。
3.ピン型除湿機
除湿機本体に特殊なピンを設置し、そこに湿気を吸着させることで湿度を下げる方式の除湿機です。
【メリット】
- 静音性が高い
ピン型除湿機は、コンプレッサー式の除湿機よりも静かで、就寝時に使用することができます。 - ポータブル性が高い
ピン型除湿機は、小型・軽量で、コンパクトなため、持ち運びやすく、簡単に場所を移動できます。 - 消費電力が低い
ピン型除湿機は、コンプレッサー式の除湿機よりも消費電力が低く、電気代が安く抑えられます。
【デメリット】
- 除湿量が少ない
ピン型除湿機は、コンプレッサー式の除湿機よりも除湿量が少ないため、大きな面積の部屋や高湿度の場所では効果が低いことがあります。 - 頻繁なメンテナンスが必要
ピン型除湿機には、水タンクがあり、頻繁に水を排出する必要があります。また、ピン型除湿機は、除湿ピンが詰まると効果が低下するため、定期的なメンテナンスが必要です。 - 湿度によっては効果が低い
ピン型除湿機は、湿度が低い場所では効果が低いため、乾燥地域などでは適していません。
4.ジェルボール除湿機
乾燥剤を球体状にした製品で、湿度の高い場所に設置して湿気を吸収する方式の除湿機です。
【メリット】
- 静音性が高い
ジェルボール除湿機は、ピン型除湿機よりもさらに静かで、就寝時にも使用することができます。 - ポータブル性が高い
ジェルボール除湿機は、小型・軽量で、コンパクトなため、持ち運びやすく、簡単に場所を移動できます。 - 電力不要
ジェルボール除湿機は、電気を使わずに運転できるため、停電時や野外などの場所でも使用できます。
【デメリット】
- 除湿量が少ない
ジェルボール除湿機は、ピン型除湿機よりも除湿量が少ないため、大きな面積の部屋や高湿度の場所では効果が低いことがあります。 - 乾燥剤の交換が必要
ジェルボール除湿機には、乾燥剤が入っています。一定期間使用すると乾燥剤が飽和し、交換する必要があります。 - 高温多湿な環境では効果が低い
ジェルボール除湿機は、高温多湿な環境では効果が低いため、温度・湿度によっては適さない場合があります。
5.ヒートポンプ式除湿機
外気を冷却して水蒸気を凝縮させ、さらに熱交換器を通して再び加熱することで、湿気を取り除く方式の除湿機です。
【メリット】
- 除湿力が高い
ヒートポンプ式除湿機は、空気中の水蒸気を冷却して結露させ、その後加熱して除湿するため、高い除湿力があります。 - 静音性が高い
ヒートポンプ式除湿機は、コンプレッサーを使用しないため、動作音が静かです。 - 省エネ性が高い
ヒートポンプ式除湿機は、省エネ設計がなされており、エネルギー効率が良いため、省エネ性が高いです。
【デメリット】
- 購入価格が高い
ヒートポンプ式除湿機は、コンプレッサー式除湿機やデシカント式除湿機に比べて、購入価格が高い傾向があります。 - 電気料金が高い
ヒートポンプ式除湿機は、冷却・加熱などに電気を使用するため、運転中の電気料金が高くなる可能性があります。 - 低温下で効果が低い
ヒートポンプ式除湿機は、温度が低い場所では冷却効果が低下するため、低温下での使用には適していません
6.空気清浄除湿機
空気中の汚れを浮遊粒子フィルターなどで取り除き、除湿機能も併せ持った製品です。
【メリット】
- 除湿と空気清浄が同時にできる
空気清浄除湿機は、除湿と空気清浄の両方の機能を備えているため、室内の湿気と汚れを同時に取り除くことができます。 - エアコンと同様の機能がある
空気清浄除湿機は、エアコンのような冷房機能も持っている場合があり、夏場の暑い時期にも使えます。 - 調湿機能付き空気清浄機と比較して静音
空気清浄除湿機は、調湿機能付き空気清浄機と比較して静音性が高く、就寝時の使用にも適しています。
【デメリット】
- 購入価格が高い
空気清浄除湿機は、除湿と空気清浄の両方の機能を備えているため、購入価格が高くなる傾向があります。 - 電気料金が高い
空気清浄除湿機は、除湿と空気清浄の両方の機能を備えているため、運転中の電気料金が高くなる可能性があります。 - フィルターのメンテナンスが必要
空気清浄除湿機は、空気清浄機能を備えているため、フィルターのメンテナンスが必要です。定期的に清掃や交換をしないと、効果が低下する可能性があります。
除湿機を選ぶ際のポイント
除湿機を選ぶ際には、以下のポイントを考慮して選ぶことが重要です。
湿度の目安
除湿機には、除湿能力を表す「脱湿能力」があります。
一般的に部屋の広さと目安としては、
「脱湿能力1kg/hで、床面積約12平方メートルまで」
「脱湿能力1.5kg/hで、床面積約18平方メートルまで」といった具合に、目安が示されています。
ただし、季節や室内の湿度によっても必要な脱湿能力は異なるため、適切な脱湿能力を選ぶことが重要です。
タンク容量
除湿機には、水蒸気を取り込んだ水がたまる「タンク」があります。
タンク容量が大きいほど連続運転が可能になるため、使用頻度が高い場合や長時間の使用が必要な場合は、タンク容量が大きいモデルを選ぶことが望ましいです。
また、タンク容量が少ない場合は、自動停止機能がついているか確認することが重要です。
省エネ性
除湿機の省エネ性能は、電気代の節約につながるため、選ぶ際には確認することが重要です。
特に、運転モードやタイマー機能、エコモードの有無を確認することがポイントです。
静音性
特に、寝室やリビングなど、静かな環境で使用する場合は、静音性能が高い除湿機を選ぶことが望ましいです。
静音性能は、dB(デシベル)値で示されますので、比較検討する際には参考にしてください。
デザイン
除湿機は、常に目に入る家電製品の一つです。
そのため、デザインにもこだわりたいという方も多いでしょう。
色や形状、サイズ、重量など、自分の好みに合ったデザインを選ぶことができるようになっています。
除湿機の使い方のコツ
除湿機の使い方にもコツがあります。以下に紹介します。
除湿機を設置する場所
除湿機を設置する場所には、いくつかのポイントがあります。
まず、換気口や窓に近づけて使用することで、除湿効果が高まります。
また、空気の流れが良くなるように、部屋の中央に置くのが望ましいです。
さらに、除湿機が置かれた場所の温度や湿度は、除湿効果に影響します。
除湿機の取扱説明書に記載された、適した温度範囲と湿度範囲内で使用することが望ましいです。
適切なモードの選択
除湿機には、様々な運転モードがあります。運転モードによって、除湿効果や省エネ性能が異なりますので、使用するシーンや環境に合わせて適切なモードを選ぶことが重要です。
タンクの空きチェック
除湿機のタンクがいっぱいになると、自動的に停止します。タンクを定期的にチェックし、空にすることで、連続運転が可能になります。
フィルターの掃除
除湿機のフィルターは、埃やほこりを取り込みます。
フィルターが汚れると除湿効果が低下します。
フィルターは、取扱説明書に従い、定期的に掃除することが重要です。
湿度計の併用
除湿機には、内蔵された湿度計がありますが、精度に限界があることがあります。
湿度計を併用することで、より正確な湿度管理ができます。
さいごに
以上が、除湿機の基礎知識と使い方のコツについての解説です。
除湿機は、様々なタイプや機能があるため、自分の使用目的や環境に合わせて、適切なものを選ぶことが重要です。
また、除湿機を正しく使用することで、快適な室内環境を維持することができます。
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